▲斜め棒銀 対 △四間飛車 【実戦】2 その後

これは以前指した将棋の後日譚である。f:id:billgrant:20150402212317p:plain
私は後手番。第1図の局面から△4二金▲3五馬に△1四角と打って勝った。
その時の検討では△4二金▲3五馬は不要で単に△1四角で良かったと結論付けた。

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さて、第2図のような9筋を突き合った通常形への応用を考えた場合、
△1四角▲2一飛成△5八角成▲同金と進めば金の位置は6八でも6九でも同じであるため、
斜め棒銀は全てこの局面に誘導できればよいのか・・・?と考えたりもした。

しかしコトはそう簡単ではない。
なにげなく定跡書を読んでいるとこの手(△1四角)が載っているではないか!
曰く「以前は後手勝ちだったが、先手勝ちに結論が変わった」とのこと。
自らの無知を知り唖然となった。

△1四角以降は▲2一飛成△5八角成(△4六飛成は▲5三桂)▲同金△6九銀に▲8八玉と逃げる。
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ここで後手玉は先手に角を渡したため▲5二馬~▲7一銀の二手スキになっているらしい。
つまり第3図以降△7八金▲9七玉△5八銀成▲5二馬(△同金は▲7一角まで)に
△8九飛成と詰めろをかけても後手玉は▲7一銀で詰んでしまう。
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玉を逃げる手や△同金は比較的簡単に詰む。
△同玉も▲6一馬△同銀▲5三角で、
(1)△8二玉は▲7二金(!)。(2)△6二桂は▲同角成△同玉▲5三金(!)と、
いずれも派手な金捨てから詰んでしまうようだ。

この変化があるから▲6八金型、▲6九金型斜め棒銀に対しては、
振り飛車はそれぞれ別の手順を選ぶこととなったとのこと。
定跡には一手毎にとてつもなく深い意味があるんですね・・・。
確かにいずれの斜め棒銀に対しても△1四角一発で振り飛車勝ち、では美しくない。
僅かな形の違いで無限の変化が生まれる様はいつ見ても感銘を受けます。

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さて、最初に戻って私の指した第1図の局面。
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△1四角と打っても定跡通り先手勝ちかというと、
この場合は9筋の関係で後手が優勢になりそう。
(後手の詰み筋が幾つか消え、先手玉の逃げ場所が減っている)
ただし、実戦の進行通り△4八金▲3五馬△1四角の進行は、
先手が角を切った際に5二ではなく6二へ切り込めるのが大きく、
先手良しになるかもしれない。

たとえ自分の棋譜からでも、多くのことが勉強できるものですね。
対局後の振り返りはやっぱり大事だ。