▲4五歩早仕掛け 対 △四間飛車【実戦】1

村上春樹さんに質問しようと思っていたのに忘れてしまっていた。
しかし読者とのやり取りを見るだけでも楽しい。
(話半分で聞いているかのような村上春樹氏のとぼけた回答がツボ)

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さて、先日指した将棋から。
後手番だったのでいつものように四間飛車
▲6九金型の早仕掛けだったので、
△5四銀と玉頭銀を目指す。
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ここで▲5五歩、▲3八飛、▲3七桂があるが、
本譜は▲3七桂と玉頭銀を受けて立つ順。
以下△6五銀▲2四歩△同歩▲4五歩△7六銀。
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手順中▲2四歩には△同角と取り、
▲4五歩△3五歩(A図)の順もある。
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以下▲2六飛△3六歩▲同飛△3五歩▲2六飛△3二飛。
▲1六歩が入っていない場合は、△3二飛に▲4七銀と受けても△3六歩▲同銀△1五角があり、後手良しとなる。
ただし本譜は△1五角がなく、△2四同角が成立するかは不明。
居飛車がこういった変化を防ぐには、
▲2四歩より▲4五歩を先に指す。
(▲4五歩が先だと△4五同歩が生じるが、角交換後▲8八角で先手良し。
角交換して▲2四歩は△4六歩▲2三歩成△2七歩▲同飛△4七歩成で後手良くなる。)

本局は▲1六歩が入っていること、▲2四飛の飛車切りを必要以上に恐れたこと、定跡を忘れかけていたこと(これが最も大きな理由)から、
A図の変化を選ばず素直に△2四同歩と応じた。

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第2図から、定跡では▲4四歩(B図)と取り込み、
後手に(1)△3五歩と(2)△9五歩の選択肢がある。
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後者は1筋の突き合いがなければ羽生-藤井(2002・王将)の進行。
また、B図で(3)△4四角もあり、
これは▲同角△同飛▲7七歩△8七銀成(!)▲同玉△8四飛を狙ったもの。
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▲6八玉は△8七角から詰んでしまう。
かといって歩切れも苦しく▲8六銀と受けるが、
△6四角▲9七角△9五歩▲同歩△9六歩▲同玉△8六角▲同角△8五銀で後手勝勢。
ただし、(3)△4四角には▲7七歩がある。
これなら△6五銀と撤退するしかなく、
そこで▲2四飛と走って先手十分。

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本譜はB図の▲4四歩ではなく▲4四角とぶつけてきた。
ここで気の利いた手を指せば良いのだが、
△同角と取って▲同角△同飛で上記(3)の定跡に合流。
▲7七歩なら△8七銀成から後手良しだが...
ここで相手は▲6六角。
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なるほど、(3)で角交換せず▲7七歩と打つのと比べ、先手玉が壁形でない上に角が使いやすい。
さらに△8四飛も消して飛車が逃げれば香取り。
▲7四飛には△7七歩で先手玉を安全にしてから
▲2四飛や▲1一角成を狙って先手良しか。
結局、(3)△4四角は▲7七歩だけじゃなく、
▲4四同角△同飛▲6六角でも居飛車良しということですね。
その後は相手の指し手に感心しつつ、
端攻めを絡めて何とか迫ったが負け。
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本譜のポイントはやはり第2図での▲4四角に対する応手。
対局中も頭の片隅にあったのだが、
やっぱり△3五歩の桂頭攻めが良かったのではないか(D図)。
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以下、(A)▲3三角成△同桂には▲8八角でも▲2四飛でも△3六歩。
どこかで▲7七歩を入れてきても、
△8七銀成と薄くしてから△3六歩で桂の逃げ場がなく、△3七歩成▲同銀と進めば△4五桂も狙える。
(B)▲3五同歩△3六歩▲3四歩もあるかと考えたが、
△4四角▲同歩に△3七歩成▲同銀で△7五桂や△4五桂を狙って後手良いだろう。
△3七歩成の前に△4七歩の叩きを入れても良いかもしれない。

今回、改めて早仕掛けの定跡を復習した。
この戦型の居飛車は飛車先を突破しやすい代わりに、
振り飛車からは桂頭攻めが急所になりやすいのか、と今さらながら認識。
私レベルだと大駒の働きばかり考えがちだが、
△3五歩のような手が、筋ってやつなんだろう。

振り飛車側でこの戦型だと、
どうも苦手なイメージを持ってしまっている。
鍛練を重ねてなんとか払拭できるようにしたい。